【緑の庭】牧野植物園便り

2010.2.15  

Makino Botanical Garden News


春を告げる黄色
パーティークラッカーのよう

枝の先で四方に伸びるように開花

牧野博士、岡山県で新種のマンサクを発見

夏井 操
 冬枯れの山も見慣れ、そろそろ花が咲かないかとそわそわする2月末から3月ごろ。山肌に黄色い花がちらほら目につくと、ああ、春がやって来る、と思わずうれしくなります。

■ 「先ず咲く」か「豊年万作」から

 その花とは、マンサクです。マンサクは全国に広く見られ、そのうちいくつかの地域のものが変種として知られています。それぞれの地で早春を告げる花として親しまれています。和名は「先ず咲く」からとも「豊年万作」からともいわれますが、どちらにしても歓迎される名前に違いありません。
 花はパーティークラッカーのようで、花弁はくるくる巻いた細長いリボン状です。それが四方に伸びるように開花。一つ一つは地味な感じがしますが、枝先に群れて咲くと遠くからでも分かります。


(写真提供:新見市)


■ 岡山で、牧野博士が発見

 花が咲いた後に葉が出るのですが、牧野博士が岡山県新見市を訪ねたのは、まさに青々とした葉が茂る真夏のことでした。
 1914(大正3)年8月5日、阿哲郡新見町(現在の新見市)で阿哲郡教育会主催の植物講習会が行われました。その時、黒髪山の山頂付近で博士は、マンサクに似ていながらも、より毛深い見慣れないマンサクを発見しました。すぐに新和名を産地にちなんだクロカミマンサクにしようと考えましたが、その場で受講者の一人、山口国太郎に阿哲郡内に広く見られることを告げられ、地域の名をとったアテツマンサクにすることになりました。
 2年後の1916年にはHamamelis bitchuensis Makino(備中の)という新学名と新和名を学術発表(その後マンサクの変種であると考えられ、現在、学名はHamamelis japonica Siebold et Zucc. var. bitchuensis (Makino) Ohwiが使われています)。アテツマンサクは現在、新見市のシンボルとして、市民に広く愛されています。


(写真提供:新見市)

■ 新見市の天然記念物に

 わたしも2年前の12月、牧野博士が立ち寄った新見市黒髪山へ行ってみました。なかなか深い山でした。花こそありませんでしたが、新見市の天然記念物と書かれた看板の傍ら、アテツマンサクが健在でした。時間を超えて博士と植物を共有し、あらためて博士や地元の植物学者、愛好家たちの熱意や活気を感じました。

高知県立牧野植物園

 牧野植物園は、高知県が生んだ植物学者・牧野富太郎博士の業績を顕彰する施設として、昭和33年(1958)に、高知市五台山に開園した施設です。平成11年11月には「牧野富太郎記念館」が開館しています。
 園内には博士を生む土壌となった高知県の植物を中心に、博士ゆかりの植物など約3,000種が四季を彩られています。
 また、植物園機能とあわせて、貴重な資料を紹介する展示、研究、生涯学習の場を提供する施設などを収めた博物館が同居する総合施設は、国内では他に例がないと思われます。さらに、景観に配慮した環境保全型建築の方向性を示す優れた建築物として全国的な評価を受け、第13回村野藤吾賞をはじめ数々の賞を受けています。

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