【緑の庭】牧野植物園便り

2009.12.7  

Makino Botanical Garden News


海岸がピカピカ光るように見えるシオギク

南国市より西側にしか見られないノジギク

南国市の物部川を堺に分布が分かれる

夏井 操
 菊は昔から日本人の心に響くようで、天皇家の御紋、また50円硬貨にもデザインされています。
これらは中国で改良、園芸化されたイエギクがモチーフですが、日本にも秋の野を彩る野菊がたくさんあります。今回はそんな中から、高知県に分布するノジギクとシオギクの話です。


ノジギク

 ノジギクは牧野富太郎博士により1884年に見出され、1890年にその名がつけられました。
見つけた場所が高知県の吾川村川口という山の中だったので、その名も”野路菊”となりましたが、本来は海岸沿いに多い植物です。兵庫県を東限とした本州の瀬戸内側、四国では香川県、愛媛県から高知県足摺岬をまわり、南国市前浜まで、また九州の東海岸に分布します。ただ、高知県においては南国市の東側を流れる物部川より東には野生では見られません。


園内のノジギク

一方で、花びら状の舌状花を持たない、黄色の筒状の花だけをもつシオギクが物部川より東の海岸で見られます。舌状花がないので一見地味に感じますが、この花が満開になると、海岸線がピカピカ光っているようで美しいものです。
このシオギク、物部川の東側、高知県香南市香我美町月見山から東へ、室戸岬をまわり徳島県の蒲生田岬まで分布しています。こちらは物部川を境に西の地方では見られないのです。


シオギク


 実際のところ、何が原因で物部川を境に分布が離れているのかはわかっていません。自然は人知を超える、といったところでしょうか。
ノジギクとシオギクを思うとき、わたしは牧野博士の植物学の上達のためのモットー、 赭鞭一撻 しゃべんいったつ の「植学に関係ある学科は皆学ぶを要す」「造物主あるを信ずるなかれ」というのを思い出します。物部川をめぐる要因をさまざまな分野から学ぶことで、今後、分布の謎に迫れるのかもしれません。

▼インフォメーション

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高知県立牧野植物園

 牧野植物園は、高知県が生んだ植物学者・牧野富太郎博士の業績を顕彰する施設として、昭和33年(1958)に、高知市五台山に開園した施設です。平成11年11月には「牧野富太郎記念館」が開館しています。
 園内には博士を生む土壌となった高知県の植物を中心に、博士ゆかりの植物など約3,000種が四季を彩られています。
 また、植物園機能とあわせて、貴重な資料を紹介する展示、研究、生涯学習の場を提供する施設などを収めた博物館が同居する総合施設は、国内では他に例がないと思われます。さらに、景観に配慮した環境保全型建築の方向性を示す優れた建築物として全国的な評価を受け、第13回村野藤吾賞をはじめ数々の賞を受けています。

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