【緑の庭】牧野植物園便り
2008.11.10      
 寒さの訪れとともに花開く

 清楚さが際立ち、愛好者も多い

 高知県が生んだ花卉園芸文化
「土佐寒蘭」


野町 敦志


 牧野植物園の南園 土佐寒蘭センターでは、いまカンランの甘い香りが漂い、その花の清楚さは日本独自の美しさと賞賛されています。
 
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カンランの花

◆初冬に咲く

 カンランは、高知県を代表する植物のひとつで、寒さの訪れとともに初冬に咲くため“寒蘭”と呼ばれます。牧野富太郎博士によって、明治35年に“シンビディウム・カンラン(Cymbidium kanran Makino)”と学名が付けられました。日本の静岡県以西、四国、九州、沖縄から中国の華東・華南と雲南にまで広く分布しますが、特に高知県は自生も多く、園芸価値の高い品種を数多く産出してきました。現在は、残念ながら乱獲によりその自生数は大きく減少し、絶滅危惧種にも指定されています。今日では自生のカンランを見ることは難しく、ましてや自生地での開花に出会うことは夢の話なのです。

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豊雪

◆カンランの庭を整備

 そこで当園では、カシ類などの木を植栽し、樹下にカンランを地植にし、開花期には林床に咲くカンランを見ていただこうと、カンランの庭を整備。風雨などによる障害や害虫の問題があるため容易ではないと考えられますが、「さすがカンランの本場!」といっていただけるよう地植での開花に挑戦しています。

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連絡道展望台らの眺め

◆「豊雪」は一鉢1000万円の時も

 高嶺の花というイメージがあるとよく耳にするカンラン。写真の「豊雪(ほうせつ)」は、20年ほど前には1鉢一千万円以上もしており、確かに文字どおりの高値の花でした。今では、当時の数百倍に鉢が増え、価格も数百分の一になりました。 しかし、優れた品種というものは価格に関係なく人気があるもので、近年では韓国、中国、台湾でもその良さが認められるようになりました。
 土佐寒蘭センターでは、昭和の初期から品種登録された古典的名花を中心に展示し、10月中旬から12月上旬までその花と香りをお楽しみいただけます。
 
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ヤブツバキ
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イチゴノキ

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ノジギク

(高知県立牧野植物園 園芸課)    


▼カンラン展開催

11月22日(土)〜24日(月・祝)9:00〜17:00 会場/高知県立牧野植物園 本館 映像ホールにて県内の愛好会会員らが丹精込めて栽培したカンランを、モダンな和の空間に仕立てた映像ホールに一堂に展示します。 日本人の心に響く、幽玄なる美と香りの世界をお楽しみください。

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カンラン展のようす(2007年)

共催/財団法人高知県牧野記念財団、土佐愛蘭会、
   土佐香南愛蘭会、日本寒蘭会

 
高知県立牧野植物園

 牧野植物園は、高知県が生んだ植物学者・牧野富太郎博士の業績を顕彰する施設として、昭和33年(1958)に、高知市五台山に開園した施設です。平成11年11月には「牧野富太郎記念館」が開館しています。
 園内には博士を生む土壌となった高知県の植物を中心に、博士ゆかりの植物など約3,000種が四季を彩られています。
 また、植物園機能とあわせて、貴重な資料を紹介する展示、研究、生涯学習の場を提供する施設などを収めた博物館が同居する総合施設は、国内では他に例がないと思われます。さらに、景観に配慮した環境保全型建築の方向性を示す優れた建築物として全国的な評価を受け、第13回村野藤吾賞をはじめ数々の賞を受けています。

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