【食の庭】食道楽
2009. 12. 14

Enjoy four seasons with fine food


栄養満点医者いらずの果実

「柿が赤くなれば、医者が青くなる」

日本産の柿は世界の「KAKI」に

金関 亜紀
 

 寒くなると木々の葉は落ちますが、美味しそうに実る果実も多いもの。そのなかでも一番目をひくのが「柿」のオレンジでしょうか。この柿。いろいろな品種がありますが、実はなんと日本原産の果物だということはご存じでしょうか。その旬の柿を少しご紹介いたします。

次郎吉さんが拾った苗で名柿がそだった「次郎」。
甘く、デザートとして食べるのもいいですが、料理の和え物としても、ほどよい甘さで最高です

■16世紀に世界に広がる
 もう冬。八百屋さんの棚に並ぶのはオレンジによく熟れた柿です。柿は日本の原風景によくでてきますね。そんな柿が世界に広まったのは16世紀。ポルトガル人によって、ヨーロッパに渡り、その後アメリカ大陸に広まりました。
 今日では「KAKI」(学名はディオスピロス・カキ)で世界で食されている柿。国内だけでも柿の種類は多く、よく目にするのが甘柿だと富有と次郎ではないでしょうか。富有の原産地は岐阜県本巣群南街居倉だといわれています。
 1857年頃、その土地で栽培された柿の出来がすばらしく、品評会で新品種として世の中の紹介することになったそうです。いろいろ候補があったなか、古典『礼節』の中にある「富有四海之内」の言葉から引用して「富有」と命名されたそうです。甘柿全体で約11万686tも生産されていますが、そのうちなんと60%を占めているとか。南は九州から北は新潟と国内の広い地域にわたって栽培され、「甘柿の王様」といわれています。
 次郎は1844年、静岡県に住んでいた次郎吉さんが近くの川で流れてきた柿の幼木を拾い、植えたのが始まりだそうです。まるで、桃太郎物語のようなお話ですが、事実。現在は愛知と静岡で多く栽培されています。
 柿は甘柿だけでなく、渋柿という種類もあります。軒先など、秋から冬にかけて皮をむいた柿をいくつも連ねて干している光景を一度は目にされたことがあると思います。渋柿にもいろいろ種類がありますが、「渋柿の王様」といわれる 平核無(ひらたねなし)には、新潟の八珍、山形の庄内柿、佐渡のおけさ柿、核無など様々な名称があります。この平核無、新潟に樹齢300年ちかいといわれる原木が今も生えているのです。さて、そんな柿ですが、実は果物として口にする以外に、様々なお料理の具材、味つけとして利用されているのです。


栄養宝庫の柿はイチゴやリンゴ以上のビタミンがたっぷり

■高い柿の栄養価
 

 柿は甘くておいしいだけではなく、実は栄養が豊富です。ビタミンC、Aの量やカロリー、干し柿はなんと便秘改善の効能も期待される食物のひとつ。特にビタミンCの量はみかんの2倍、レモンやイチゴと同等のビタミンCが含まれており、病気に対する抵抗力を強める効能が高いそうです。
 また実だけでなく、柿の若葉には動脈硬化や高血圧、心臓病といった成人病の予防となるビタミンCがとくに多く、近年注目されています。一年中、柿の葉のお茶を飲み続けている人は、一年をとおして風邪をひくこともなく、健康診断も良好で、お肌の調子もよいという方も多く、アンチエイジングの材料として注目されているのです。さらに ビタミンCの他にもビタミンK、B1、B2、カロチン、タンニン、ミネラルなどを多く含んでおり、「柿が赤くなれば、医者が青くなる」という言葉があるほど、柿の栄養価は本当に高い。さらに「二日酔いには柿」といわれており、ビタミンCとタンニンが血液中のアルコール分を外へ排出してくれるからで、豊富なカリウムの利尿作用のおかげともいわれています。


大根の白と柿の赤がめでたい一品。お正月のおせち料理にいれる県も。

■お正月のめでたい料理
 柿をつかった料理も様々。代表的なものは「柿なます」でしょうか。なますはお正月のおせちのひとつでもあり、めでたさもあります。実は「柿なます」は、食事途中の箸休めにちょうどよい味わいがあり酒呑もお酒のアテにと重宝されているのです。

 柿なますの作り方は本当に簡単。

 材料は大根、にんじん、干し柿。調味料は塩、そして合わせ酢a(練り胡麻・砂糖・酢・うすくち醤油・塩)のみ。

1. ダイコンは3cm長さ5mm幅の短冊切りにします。ニンジンは3cm長さ、ダイコンより少し細めに切ります。
2. 1に塩をしてしばらく置き、しんなりすればさっと水洗いして充分絞ります。
3. 干し柿はヘタを取って、縦に切り目を入れて開きます。種を取って細切りにします。
4. aを合わせ、2をほぐしながら加え、3も加えて和えます。
5. しばらくおいて味をなじませ、器に盛ります。


昔はどんな家でも1本の柿の木が植えられており、冬にむけて干し柿作りが盛んでした。そんな日本の風景も段々減りつつあるのは残念。

 あんぽ柿も今が旬です。「あんぽ柿」とは干し柿の一種で、半分生のような状態で柔らかいのが特徴です。主に「蜂屋柿」を原料に、加工します。鮮やかな橙黄色でしっとりとした肌で高級感があり、ファンも多く、全国でつくられています。もちろん干し柿にはいろいろなタイプが販売されていますが、表面に白く粉が吹いて水分が少なく硬めの干し柿である「枯露柿(ころがき)」と区別して、水分を50%程度含んだ柔らかめの干し柿を「あんぽ柿」と呼んでいるそうです。栄養満点の柿。 一日ひとつ食べれば 風邪もひかず、健康・美容にも花マル。北風が強くなる季節には欠かせない一品として食べたい国産の果実ですね。



金関 亜紀
(かねせき・あき)
 1974年、香川県生まれ。九州や山口で考古学に携わり、民俗学などに関心をもつ。東京の編集プロダクションや出版社勤務を経て、フリーランスに。現在、東京−香川を往復する生活を続ける。一年に地方や離島に出かける回数は30回以上。土地の食材や酒、祭りなどのフィールドワークを行っている。共著に「日本全国うまい焼酎虎の巻」(エイ文庫)がある。無類の酒好き。雑誌やネットなどでお酒のコラムをはじめ、離島の島ネタなどを執筆中。現在は各地の居酒屋で旬の食材と地酒を求めて放浪中。

 

 
 


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