【食の庭】食道楽
20089.2.9

Vol. 5 大根
大根を食べれば
病知らずの体質になれる


おでんの人気スリーにあげられます
解毒効果は100%?
「大根パワー」忘れる無かれ

金関 亜紀

 料理の素材は数多くあるけれど、冬だからこそ食べたい! といってあげられるのが大根ではないでしょうか。

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寒くなるとおでんが恋しい。そんなおでんの人気具はやっぱり大根!

◆冬が旬です

 立春を迎え、暦の上では春が近づいているのですが、まだまだ寒い。そんなとき、湯気のあがるおでんをつつく幸せといったら……。そんなおでんの人気ベスト3の具にはいる大根は誰もが愛する食材です。
 今では一年中、スーパーや八百屋さんで見る大根ですが、実は冬が旬。冬の大根は旨み十分でみずみずしく、他の時期に比べると味は雲泥の差。日本各地、ご当地大根があるほど日本人は大根大好き国民ですが、今回は大根の魅力や知っておいて得する大根効能、ご当地限定大根などご紹介しましょう。

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世界各地で愛される大根。日本大根は世界三大大根のひとつにはいる

◆万病の薬にもなる! 大根パワー

 大根の原産地は、地中海沿岸説、中央アジア説など諸説があり定まっていません。起源はかなり古く、古代、エジプト時代にも記録が残っています。
 日本には中国から渡来した渡来人によってもたらされ、その後、日本各地に分布したと言われています。『古事記』にも記載されていたり、あの仁徳天皇陵から大根の種子が発見されたりと、古来より日本でも親しまれてきたことをうかがい知ることができます。
 世界では、現在ヨーロッパ大根、中国大根、日本大根の3種類があるそうで、私達が慣れ親しんでいるのは、日本大根です。
 さて、大根には春大根、冬大根とありますが、やはり大根の旬は冬。主な栄養素としてビタミンCが豊富な大根ですが、有名なのは根のほうにある消化酵素ジアスターゼです。
 
◆胃もたれ二日酔いにも効果

 消化を促進して、胸やけや胃酸過多、胃もたれ、二日酔いなどに効果があります。しかし、ジアスターゼは熱に弱く、加熱してしまうと作用が失われてしまいます。 効果的に食べるには大根おろしが一番なのをご存知でしょうか。焼き魚などのお供についてくる大根おろし。今まで「い〜らない」って食べていなかった方。この機会にぜひ、食べてみてください。大根おろしは食物の消化を助け、食物繊維の整腸作用で胃の弱い人や便秘の人にも効果があります。
 また、皮には毛細血管を強くするというビタミンPが含まれ、脳卒中の予防に効果が期待できます。葉の部分は緑黄色野菜の仲間で、カロチン・ビタミンC・カルシウムなどがいっぱい。葉を毎日食べることで、ニキビや吹き出物を治し、みずみずしい肌にする作用があります。

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お江戸特産の亀戸大根。明治時代は「お多福大根」「おかめ大根」とも呼ばれていた

◆ビタミンC

 そのなかでも誰もが知っているのは辛み成分の殺菌作用とビタミンCでしょう。大根は風邪に効くと昔からいわれており、体調を崩せば大根料理を食べようと体が動いてしまいます。いつの間にかすり込まれていた大根万病万能薬情報。きっとそれはおばあさんやおじいさんの昔からの知恵袋によるものではないでしょうか。
 幼い頃、「熱がでたら、大根とりんごを摩りおろしたものを食べなさい」と、無理やりにでも食べさされていた記憶がありますね。他にも大根のおろし汁に蜂蜜を加えて飲んだり、湿布に使ったりします。薬の役目もしてくれる……大根。そういえば、春の七草の「すずしろ」は大根のことですね。私達日本人は、昔から大根の効能を熟知し調理してきたのです。

◆江戸伝統野菜「亀戸大根」とは

 「亀戸大根」は、小松菜や千住葱、谷中しょうが、練馬大根などと並び、江戸時代から現在の東京周辺で栽培されてきた伝統野菜、江戸東京野菜のひとつです。江戸末期、現在の香取神社周辺を中心に栽培が始まったそうですが、現在では葛飾区でも3、4軒の家庭で栽培しているのみ。
 この「亀戸大根」、春大根と比べると小ぶりで、人参と同じくらいの大きさしかありません。小ぶりながらきめ細かく、大根そのものを齧ってもOKなくらい大根自体の甘みがしっかり感じられます。歯ざわりは、普通のダイコンとカブの間ぐらいで、非常に柔らかく、舌の上で溶けるような食感。しかし、繊維質としての歯ごたえはしっかり残っています。「亀戸大根」の葉も実同様、柔らかく、旬のほうれん草のような甘みがあります。

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大根の隅々までたまり醤油の甘さが染み渡ったたまり漬とあっさりとした食感の七五三漬(亀戸大根)

◆「かめのかい」を結成

 そんな「亀戸大根」を廃れさせてはいけないと、地元では大根の栽培を復活させるべく「かめの会」を結成。2000年からは地元の小学校で栽培を実施し、毎年収穫されています。その「亀戸大根」は発祥の地とされる香取神社に奉納し、収穫を祝うのが「福分け祭り」。 
  子供たちが育てた「亀戸大根」が無料で配られるとあって、全国から多くの観光客が集まります。境内には「亀戸大根」の碑もあり、大根をわけてもらった人は笑顔で記念撮影している光景が毎年、春先に見られます。

◆大根でフルコース。「亀戸 割烹升本」

 大根料理というと、皆さんはどのようなメニューが頭に浮かんできますか? おでん、大根おろし、ふろふき大根、切干大根、ブリ大根…、人の数だけ料理名は飛び出てきますね。 

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煮詰めた大根に海苔をまいて玉子でくるんだ福巻き玉子(亀戸大根)

 あぁ、大事なおしんこも大根料理でした。煮ても焼いても、摩り下ろしても、自由自在に旨みをだしてくれる大根。根の部分も葉の部分も皮さえも使える、残すところのないパーフェクトな野菜なのです。さて、そんな大根をよりいっそうおいしく食べてみたいと思うのが人の心情。
 そんな気持ちを満足させてくれるのが、亀戸にある『亀戸 割烹升本』。こちらは江戸野菜、「亀戸大根」をメインに扱っているお店で、野菜大好きな方や野菜ソムリエなど、誰もが知っている有名店です。
 大根と魚や肉との相性などを考えたコースなどもあり、大根とはこんなにも変化するものなのかと驚くばかり。大根の一品料理も数多く、サラダや煮物はもとより、ステーキ、卵焼き、江戸前煮など目から鱗の味には、かなり驚いてしまいます。なかでも江戸前煮は甘辛く煮詰めたイカとのバランスがよく、ついつい箸が伸びます。

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いかとの相性が抜群の江戸前煮。イカのなかに大根を敷き詰め、煮込んだもの(亀戸大根)

 「亀戸大根は日本一小さい大根ですが、ビタミンCは普通の大根の2倍あり、栄養価が優れています。そのため旨みも濃く、生のままで食べても甘く、煮込めは繊維質を残しつつもやわらかい食感になります」というスタッフの顔はみんな白くすべすべ。 これも大根パワーなのでしょうか。まだまだ大根がおいしい時期。皆さんはどのように大根を食べてみますか?食卓に昔からあがる白いご飯に大根の味噌汁、香の物。まずはこの3点セットから試してみませんか?

亀戸大根が食べられるお店
店名:亀戸 割烹 升本
住所:東京都 江東区 亀戸4-18-9
電話:03-3637-1533
休 :第3日曜
備考:「亀戸大根あさり鍋」は相性のいいあさりとのコラボレーション。店の人気メニューの一品。



金関 亜紀(かねせき・あき)
1974年、香川県生まれ。
 九州や山口で考古学に携わり、民俗学などに関心をもつ。東京の編集プロダクションや出版社勤務を経て、フリーランスに。現在、東京−香川を往復する生活を続ける。一年に地方や離島に出かける回数は30回以上。土地の食材や酒、祭りなどのフィールドワークを行っている。共著に「日本全国うまい焼酎虎の巻」(エイ文庫)がある、無類の酒好き。雑誌やネットなどでお酒のコラムをはじめ、離島の島ネタなどを執筆中。
 
 
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