【食の庭】食道楽
2008.10.14

Vol. 1 アケビ
アケビのカニしんじょう

秋の山の幸といわれる
アケビってどんなもの?

まずは食べて味を知ろう
金関 亜紀


 飽食の時代の末路なのでしょうか。ここ数年、世の中は汚染米や生産地偽装、農薬入り食品など、食のトラブルが続いています。食の安全国を自称してきた日本のメッキが剥がれてきたのではないでしょうか。
 四季を愛する、四季とともに生きる日本人というイメージを私達は強くもっており、誇りに思っています。が、24時間いつでも食料が手にはいるコンビニをはじめ、ハウスものや輸入もの、品種改良したものなどがスーパーや百貨店などに所狭しと並んでいるところを目の当たりにすると、ある意味、自然の摂理から180度かけ離れた国なのではないかとの思いもしてきます。

写真1
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アケビ    

〇旬を美味しくいただく

 季節の旬の果物は? と質問しても、的確に答えてくれる人はひょっとして数少ないのではないでしょうか。「旬をいただく」というキャッチコピーをよく目にします。でも、自然の季節をきっちりと知り、かつ旬をいかにすれば美味しくいただくことができるか、それを実行することが難しくなってきているのも現実でしょう。
 いつから日本人は旬というものをきちんと理解せず、あるいはあまり気に掛けず、暮らすようになったのでしょうか。健康志向をもちながら、ファーストフードや冷凍食品などで簡単にすませようとする矛盾した考え。これは第一産業との関わりが遠くなってきている現代日本が、いつの間にか根底に抱え込んでしまった問題なのかもしれません。

〇秋の食材を使って

 さて、世の中は暑かった夏も過ぎ、ようやく秋らしくなりました。秋といえば食欲の秋、実りの秋というフレーズがあるように、美味しい食材が収穫できる時期です。山にはヤマブドウやキノコ、銀杏など秋の食材を目にすることができます。なかでも最近注目されているのが、アケビ。昔は里山の奥でよく見ることができた木の実です。
 アケビに含まれるカルシウムやカリウムは高血圧を押さえるとして重宝がられ、子供の発育促進を促す亜鉛も多く「アケビひとつに風邪知らず」といわれるほどビタミンCも豊富に備えた、秋の旬の食材なのです。
 キノコ類や山草などの採取のときはアケビを目印にして、季節を知る人もいるとか。10月など晩秋にはいると紫や茜色に色づき、甘い香りを周囲に放ちます。そんなアケビは昔から山のおやつといわれてきましたが、実はおかずの一品とする料亭も数多くあり、今回は美味しいアケビの料理「アケビの蟹しんじょうあげ」を見つけてきました。
 青くすきとおったあけびの皮の上に蟹しんじょうをのせ、軽く揚げるという調理は、アケビの旨さをうまく活かしたもの。

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アケビのカニしんじょう


〇熟してないアケビで

 繊維質たっぷりなので美肌効果もあり、果皮と果肉のほろ苦さが蟹の旨みと見事に溶け合っており、揚げ物でありながら、あっさりとし食べやすい味わいに仕上がっています。
 ポイントはまだ熟していないアケビを使うこと。サクサクとした繊維質の食感も楽しみのひとつです。秋山の旬の恵み、アケビ。
 名前は知っていたけれど、実際はどんな木の実なのかわからなかった人も多いはず。この機会に秋の旬、アケビとはどういうものかということを食べて学んでみるのもいいですね。

〇調理の仕方

料理名:アケビのカニしんじょうあげ
用意するもの:アケビ、カニの身、玉ネギ、卵、酒、塩胡椒、片栗粉
  1. カニの身を粗めにほぐす
  2. カニの身をボールにいれ、ミンチ状にする
  3. ミンチ状にしたカニの身に日本酒を少々。
  4. 玉ネギをみじん切りにし(葱でもよい)、溶き卵、塩こしょう、片栗粉をカニのミンチに加え、しっかり混ぜる。
  5. アケビの種をとり、半分にカット。
  6. アケビの皮を剥く
  7. 半分になったアケビの上にカニしんじょうをのせる。多すぎるとうまく上がらないので適量に。
  8. 160度から170度に熱した油でサット揚げる

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アケビのカニしんじょう


〇アケビのカニしんじょうが食べられるお店

店名:味処佐竹
住所:東京都北区赤羽1-37-5
電話:03-3598-1017
備考:白い暖簾が目印の清潔な小料理屋。座敷にテーブル二席、カウンター四席とこじんまりとした店内でいただけるのは、季節の旬を活かしたものばかり。とくにアケビのカニしんじょうや賀茂茄子の味噌和えなどは酒のお供に最高。大将のこだわりで仕入れる日本酒の銘柄も酒通を笑顔にさせるものが集う。鯨の料理を食べられる料理店としても有名。


金関 亜紀(かねせき・あき)
1974年、香川県生まれ。
東京在住・フリーランスライター。九州や山口で考古学に携わり、民俗学などに関心をもつ。東京の編集プロダクションや出版社勤務を経て、フリーに。現在、東京−香川を往復する生活を続ける。一年に地方や離島に出かける回数は30回以上。土地の食材や酒、祭りなどのフィールドワークを行っている。共著に「日本全国うまい焼酎虎の巻」(エイ文庫)があるほど、無類の酒好き。雑誌やネットなどでお酒のコラムをはじめ、離島の島ネタなどを執筆中。
 
 
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