【食の庭】食道楽
2007.08.06
 
などがあって、結構いけます
 
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 たかがせんべいというなかれ。塩味の南部ものの、せんべいには楠正成公の菊水の文様が浮き出ているし、しっかりとした固焼きで、それにはなかなか歯が立たないのである。
 しかし、思い切って気合を入れてひとたびかみ始めると、なかなか味はいい。そのうえ、やめられなくなるほど、後を引くのである。何はともあれ、南部せんべいは南部風鈴などと並んで、盛岡の象徴的存在でもあるのです。

 

 南部せんべいといっても、いろんなのがあって奥が深い。小麦粉を水で練って円形の型に入れて、焼いて作るのが基本だ。しっかりと焼くから固い。岩手県と青森県の一部に広がっていて、青森で出来るものは津軽せんべいとも呼ばれている。
「白せんべい」のほか、ピーナッツ、ゴマ、胡桃などを入れて作るのもある。また、このほか、せんべいを焼くときに、その型からはみ出した部分を切り落としたのも商品になって売られている。「せんべいのミミ」だ。ビールのつまみになって、味がある。
 「まあ。せんべいでも食っていきなさい」と、さしだされたら、会話が弾む。

 

 今では、南部せんべいを焼いて、あっためてそれにバターをつけて朝食にしている若者もいる。変わった食べ方では、せんべいとせんべいの間に水飴を挟んで、食べる「飴せんべい」がある。さらに、材料にかぼちゃを入れたり、りんごを入れたりいろんなバリエーションも出てきている。
 極めつけは、北の方で出している「せんべい汁」だろう。鶏肉、魚などでベースの味を作って、そこにせんべいをいくつかにバリバリと割って入れ、煮込むとあの「せんべい汁」が完成する。少し固めのパスタみたいで、もちもちっとしたその味がよい、という人もいる。

 

 南部せんべいの由来は、東北の地まで旅をしてき長慶天皇の一行が山中で、日が暮れてきた。おなかも従者ともどもすいてきたので、赤松という家臣が里の農家からそば粉とゴマを手に入れてきて、それをこねて、かぶとに入れて焼いた。出来上がったものを天皇に差し上げたところ、たいそうお喜びになって、これが南部せんべいになっていったそうだ。この時、長慶天皇はせんべいの表に楠木正成の「菊水」、裏に赤松家の「三階(みなし)の松」を刻すことを許したという。

 
 
 
脚本家  市川森一

 「私は生まれが諫早なもので、長崎県にはウルサイですよ。長崎県内のあちこちを舞台にした映画やテレビのシナリオも、ずいぶん書いてきました。
 今でも週に一回ぐらいのペースで長崎に帰っています。そんな時、普通に買って帰るお土産はカステラやからすみなんですが、自宅へというか、自分へのお土産は、長崎清水さんの『五味八珍』なんです。
  諫早市役所に勤めている友人に教えてもらって以来、大ファンになりました。地元ではかまぼこのことを“かんぼこ”というんですが、まさしく幼い頃に食べたあの“かんぼこ”そのままの懐かしい味がするんですね。昔、魚屋で売ってたかんぼこ。行商の魚売りのかんぼこ。昔から舌になじんだ味ですね。実は家内も大のファンで、家の冷蔵庫に『五味八珍』は欠かしたことがないんです。我が家の必需品といっていいかもしれません。」

市川 森一 (いちかわ・しんいち)
長崎県諫早市出身。日大芸術学部卒。映画「長崎ぶらぶら節」、大河ドラマ「黄金の日日」などを手がける。芸術選奨文部大臣賞、紫綬褒章などを受賞。日本放送作家協会理事長。
 
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