【食の庭】食道楽
2008.06.23

Vol. 6 ママカリ
岡山の海岸で
バカバカたて続けに釣れました


ご飯を隣家に借りに行きたいほど美味い
吉備真備もママカリ寿司を食べたかな?


 かなり前のことだが、岡山の米について、取材に行ったことがある。そのころはまだ、減反政策を積極的に農政で進めていたころだから、農業改良普及員とかいう仕事をする人が、各地にいて、その地域の農業について説明してくれたが、それはほとんど強制的と思えるほどの段取りになっていた。
 岡山にはたくさんの良質米があって、酒米もできる、など「さすがコメどころですね」と言わせたかったのか。

写真1
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■ママカリの季節

 ところが、その普及員のおじさんは、もう出世なんて考えていない人のようだったから、そのうち、こっちが聞く気がないのを察して、「ママカリがやってくる季節なので、釣りにいってみます?」と、突然言い出した。
 ママカリは「ニシン目 ニシン科に分類される魚で、本名を「サッパ」という。南日本から朝鮮半島南部の南の海を回遊している。岡山あたりには秋に入るころやってくる。
 その普及員のおじさんから聞かされるまでは「ママカリ」などという食べ物を知らなかった。だいたいママカリは、そのころはまだ瀬戸内海や有明海沿岸などの西日本中心で、食用にされていた魚で、関東以北ではあまり知られていなかった。
 
写真2
サッパ(ママカリ)
 
■暖かい太陽に、背中がポコポコ

 「いやぁ、新鮮だと寿司にするとうまいですよ」と、その普及員は、自ら舌なめずりをしていう。多くは保存がきくので、酢漬けにして食べるけれど、そのまま焼いたり、唐揚げにしてもうまいそうだ。新鮮だと刺身にしたり寿司にもする。
 そのママカリが、いまごろは海岸に出ると釣れるという。おじさんは釣り竿と、バケツまで用意してくれた。自動車を自ら運転してきて、「さあ、行きましょう」という。話を聞いているよりは良いだろうと思って、誘われるままについていった。
 岡山の市内から少し外れたあたりの工業用地みたいなところの岸で、釣り糸を下げたがいっこうに引きはない。それもそのはず、大体ママカリは刺し網とか投網とかで漁師がとる魚だ。「こんなところで釣れるものか」、と思いながらも、釣り糸をたれながら、岡山の暖かい太陽に背中をなでられていると、つい気持ちがよくなって、そういえば唐に渡って鑑真和尚を連れてきたという吉備真備も、岡山の出身だったので、こんなふうにママカリを釣ったりしていたのかなあ、などと幻想が湧いてきた。

■空気と水がよいと魚も美味い

 「センセイッ、センセイッ、引いてますよ!」突然、隣の普及員のおじさんの大声が聞こえてきたので、気がついた。
 おおっ。釣れる、釣れる。ママカリの群れがやってきたのだ。そのうち持ってきたバケツに三分の一ほどもママカリが入った。それを料理屋に持っていくと料理をしてくれて、岡山の地酒で刺身にして、食べさせてもらった。
 さっぱりとした味で、空気がよかったし、店の前を流れる水もさわやかできれいだったので、お美味しいかった。帰りには、その料理屋さん自家製のママカリの酢漬けをたっぷりとお土産にもらいました



 
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